試し斬り Part-1

●切れ味だけが刀の能力の全てではありませんが、自分で研いだものがどれぐらい斬れるものか試してみました。 私は特に居合いをやってるわけではなく斬ることに関しては素人なので、どのような刃にしたら切れ味がよいか?刃持ちが良いか?の実験のつもりで行いました。
●使用した刀は、たぶん戦国時代頃の関物と思われるもので長さ2尺1寸程度のわりと短いものです。かなり研ぎ減っており、焼刃も眠く柔らかめです。今回は刃先の角度を約30度くらいにし、内曇り砥石で念入りに研いで腕の毛を剃れるレベルにしてます。前回初めて試し切りしたときは備水砥石にて寝刃合わせをして行ったのですが、数度斬ったら体感的にも分かる程度に切れ味が落ちてきました。この時刃先を見るとギザギザした刃が潰れたりバリ状に横に倒れていたりしてたので、これが原因かと思います。
   
●↑巻き藁は畳表を巻いたものを使用しました。台はご覧の通り木で出来ているのですが、あまり重くないので斬れない時は倒れてしまいます。刀に異常な負荷が加わると倒れるので、素人でも安心してできます。
 
●↑まず30ページの新聞を二つ折りにして切ってみると、あっさりと切れました。

     
●↑水に浸けておいた巻藁と乾いた巻き藁を斬り比べてみることにしました。

 水を含んだ巻藁はあっけないほどサクッと切れました。(上の部分は手で載せてます。)
 乾いた巻藁はというと皮二枚ほど残して倒れてしまいました。修練を積んだ方なら切れたのでしょうが、明らかに巻藁は水に浸けておいた方が斬りやすくなるようです。 ヒケの付き方も乾いている方が沢山つきました。抵抗が大きいようです。

  
●↑ あまりにも簡単に切れるので2つ束ねて斬ってみたのですが、あっけないほど簡単に切れてしまいます。

 
●↑ 調子にのって水平に切ってみました。袈裟斬りよりも抵抗がありましたが、なんとか切れちゃいました。ケチって上から10cm下を斬ったせいか、結構曲がってます。

 

●← その後、5cm〜10cm間隔くらいでそぐように何度か斬ってみましたが、慣れたせいか或いは巻藁が短くなったせいか面白いようにサクサクと切れます。
 寝刃合わせしたものより、明らかに刃持ちが良いようです。他の刀はどうかわかりませんが、刃の柔らかいこの刀の場合は合わせ砥石で丁寧に研ぐのが正解のようです。
 前回は初めてだったので手応えとか分からなかったので、こんどは改正砥石で寝刃合わせして実験してみようかと思います。

●←斬るのに慣れたので、再度、乾いた巻藁を斬ろうとしたら、半分ほど切れて倒れてしまいました。最初に斬った時よりも切れないということは刃が摩耗しているのかもしれません。


●←今回切った巻藁2本分の残骸です。けっこう細かく切れました。切られた巻藁も本望でしょう。(燃えるゴミにも出しやすいし・・・・・)
  
●↑ 最後にもう一度新聞紙を切ろうとしたら切れませんでした。目で見た感じではそれほど刃先が傷んだようには見えないのですが、手を当てると若干鋭さが無くなったような気がします。
 試しに、10分ほど内曇り砥石で研いだら、一番最初ほどの切れ味ではないのですが下の写真のように切れるようになりました。 居合いをやる方は是非写真のような研ぎ台を用意し、合わせ砥石で研ぐことをお薦めします。ある程度期間が経つと余分な刃肉が付きだしてきますので、その時は研師に研磨を出すとよいでしょう。素人の方が粗めの砥石で研ぐのは厳禁です。

 柔らかい刃というのは切れ味が落ちるのも早いが、刃が付くのも早いようです。でも、新聞が切れない程度でも巻藁はよく切れました。そして、こういう刀に寝刃合わせは消耗が激しくなるので向いてないようです。
 想像ですが、寝刃合わせに合う刀とは平肉、刃肉がたっぷり付いて刃がガチガチに硬い刀なのではないでしょうか。こういう刀を薄くすると折れやすいし、刃も欠けやすく、刃肉たっぷりだと合わせ砥石で切れるように研ぐには時間がかかるからです。チャンバラしたときに人を斬るより相手の刀を駄目にするのが目的のような刀ならば寝刃合わせに向いていると思います。

 柔らかい刃は潰れたり捲れたりしやすそうな感じがするのですが、今程度の刃肉を付けている場合はどうか実験するため次回は竹でも斬ってみようと思います。そして、そのあと改正砥石で寝刃合わせして実験し、その後もう少し刃先を薄くして研いで実験してみようと思います。


※ 注意 ※ 
 これを読んだ方が、『簡単そうだからやってみよう!』と安易に行わないようにお願いします。
 試し斬りで膝を割ったり足を切ったり、最悪 死に至る事故等の話をよく聞きます。私は居合いをやってませんが、かなりの期間 模造刀で素振りをして自分の意図するように刀を振れるようになってから行いました。更に、今回の実験を行うにあたり、周りに人がいない事を確認し、2つある目釘穴の一つをビス止めにし、刀も折れにくいものを使っております。
 試し斬りをやりたい方は居合道場に通って指導を受けて行ってください。

 参考文献;無し