研磨工程の概略、研ぎ見所--->  

   
チェックポイント-1
(A)図 ;理想的な刃先の断面。切れ味、衝撃の両方に優れています。厚みやそれに伴う刃先の角度は鉄の性質や地の厚さで変わります。

(B)図 ;刃が欠けていたのを先だけ直して刃をつけた場合このようになります。切れ味も悪く、見ていて鈍重な感じがします。有ってはならない形ですが、よく見ます。

(C)図 ;刃肉が全く無い状態。適度な刃の硬さだと大変良く切れますが衝撃に弱く、刃が欠けやすい。包丁の場合、刃の角度が15度であるのが理想と或る本に書いてましたが、この図はちょうど15度です。刀ではまだ見たことが有りません。

(D)図 ;刀を見た瞬間に(C)図のように見える平肉の無い刀も実はこのように刃先だけ刃肉を僅かにつけてあります。

 刃は薄いほどよく切れますが鉄の硬さや粘り強さ等の違いにより刃先の状態が微妙に変わってきます。 
 刃先をキーンな状態(※1)にするとテッシュペーパーを繊維と直角に綺麗に切れるものもあります。そこまでいかないまでも、ほとんどの刀はよく研ぐと新聞紙一冊位は楽に切れます。
(※1)-顕微鏡で1000倍に拡大して見てもギザギザでないこと。

 刃をつけることは刃物を研ぐうえでの本質であるにもかかわらず、刀の場合、"美しく"という要素が加わることにより大変難しい作業になります。
 地肉部分と同様に刃肉部分も直線的な面が存在しません。全てが丸いボールのような曲面ですので包丁のように真っ直ぐ砥石に当てて研ぐと(Y)図のように刃のラインが多角形になったり、凹んだ状態になります。

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