【次にハバキ元より小しのぎ迄を見るにしのぎ直ぐならずして角立たぬは手の定まらぬなり。】
鎬の線を明瞭にし、刀の反りに沿った綺麗な曲線にするには、まず鎬地を平にしなければなりません。元から先にかけて表と裏が平行かつ対象となるようにし、それが日本刀の背骨となり平地を研ぐ時の基準となりす。
上図のように手が決まらずに研いだものは鎬の位置が地側に膨らみます。それを直すために平地を削って鎬を棟側に戻すという暴挙を行っている刀もよく見ます。そうすると、その部分だけ凹み考察
1 の地むらとなります。
鎬地を平にするのは鎬の角を明瞭にするためです。鎬地の面が甘いと鎬の角が凛とたちません。それを無理に立てる為に地を余分に削っているものがありますが、刀が痩せて見え美観を損ないます。それから、緊張感のある平らな鎬地の面は刀に折り目正しい雰囲気を与え、対象となる地の膨らみの柔らかさを強調し日本刀の美しさを形づくります。