刀剣研磨-研究室--->1、研磨料金について

 物として存在する刀本体に対し、そうでない研磨が十万円だの三十万円だのというのは高いんじゃないかと思う方がいるかもしれません。刀を資産とのみ見なし錆びさせなければいいや。というのであれば確かにそうかもしれません。でも日本刀の価値はそれだけではないはずです。

 日本刀を買うということは何時でも手にとって見ることができるという特権を買うことに他ならないと思います。 日本刀を観賞することにより、心を澄ませたり、美しさに恍惚となったり、妄想にふけったりと人それぞれですが、人を切るためだけの武器状態ではそのような精神性は得られません。そこに研磨の必要性が生じてくるわけです。

 研師も人である以上生活の糧が必要です。せめて一般的なサラリーマンレベル(年収300〜400万位かな?)を目標にしています。それ以上は自分の判断ではなく世間の評価におまかせすべきかと考えております。

 いずれにしろ愛刀家側からみれば研磨料が安いにこしたことはありません。
そこで研磨料金と深い関係にある研磨時間はどの程度が適当なのでしょうか?
 当工房では右のグラフのような時間と完成度の関係があります。ある程度時間をかければ、それ以降は時間を倍かけたからって完成度が倍になるということではありません。現在は真ん中の7日前後で化粧し完成としてます。これで十分満足していただけるレベルとの判断に基づき、料金設定を行っております。  
 時々「何故こんな研ぎをしてるの?」と首をひねってしまうような刀に出会います。砥石目がいっぱい残ってる程度なら良いのですが、形が崩れてる物などは目も当てられません。
 なぜこのようなことが起こるのかを考えると、やはり研磨料金と研師のモラルに行き着くと思います。納得出来ない料金では仕事を引き受けるべきでないし。低料金でも引き受けた以上、刀をダメにしない研ぎを心がけるべきだと思います。

 (^_^;) まてよ・・・。 私の愛刀(脇差)が手元に有るのは研ぎが悪かったからなのでは?(良い品なのに大変安かったです)。  
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